
40代を迎え、これからのキャリアを考えたとき「タンクローリーへの転職」という選択肢が気になっている方もいるのではないでしょうか。
しかし、40代未経験からの挑戦となると、タンクローリードライバーの実情はどうなのか、タンクローリー運転手の仕事は難しいのではないか、といった不安がつきまとうものです。
また、仕事を選ぶ上で、タンクローリードライバーの仕事はきついのか、そして気になるタンクローリーの離職率はどうなのかという点も知りたいところでしょう。
さらに、生活を支えるためには、タンクローリーの年収は平均いくらですか、という疑問や、タンクローリーの給料は高いですか、という問いに対する答えも重要になります。
この記事では、これらの疑問に答えつつ、タンクローリーのメリットは何ですか、という点にも光を当て、40代からのタンクローリー転職を多角的に解説します。
40代からのタンクローリー転職|その実態と難易度
タンクローリードライバーの実情を解説

タンクローリードライバーの仕事は、単に大きな車両を運転するだけではありません。その中核をなすのは、ガソリンや灯油といった石油製品、化学薬品、あるいは食品原料など、液体や気体、粉粒体といった特殊な貨物を安全かつ正確に輸送することです。
これらの貨物は私たちの生活や産業に不可欠であり、社会インフラを支える重要な役割を担っています。
一般的なトラックドライバーと大きく異なるのは、荷物の積み下ろし方法です。手作業による力仕事はほとんどなく、専用のホースやアームを接続し、ポンプ操作によって荷役を行うのが基本です。このため、体力的な負担は比較的少ないと言われます。
一日の業務は、出勤後の点呼とアルコールチェック、車両の徹底した点検から始まります。
その後、製油所や化学工場などの指定された場所で貨物を積み込み、ガソリンスタンドや工場、需要家のもとへ配送します。
配送件数は1日に数件であることが多く、長距離輸送よりも特定のエリア内を複数回往復する地場輸送が中心となる傾向にあります。
ただし、冬場の灯油輸送など、季節によって業務量が増加することもあります。
タンクローリー運転手の仕事は難しい?
タンクローリーの運転は、他の大型トラックと比較していくつかの点で特有の難しさがあると考えられます。
まず、運転技術の面では「スロッシング現象」への対応が求められます。これは、タンク内の液体が走行中の揺れによって動き、車両の重心を不安定にさせる現象です。
カーブや車線変更の際には、この液体の動きを予測し、車両がふらつかないよう、極めて滑らかで慎重なハンドル操作と速度調整が必要になります。
また、全長が長い車両やトレーラータイプの運転では、狭い場所での右左折やバック時の内輪差の感覚を正確に掴む高度な技術が不可欠です。
次に、荷役作業における厳格なルールも難しさの一因です。荷物の種類に応じて定められた手順を一つでも間違うと、異なる種類の油が混ざる「コンタミ事故」や、荷物の漏洩といった重大な事態につながりかねません。
そのため、バルブの操作やホースの接続など、一つひとつの作業を確実に、そして正確に行うための高い集中力と責任感が常に求められます。
しかし、これらの難しさは、裏を返せば高い専門性につながります。多くの運送会社では、未経験者でも安心して業務を始められるよう、充実した研修制度を設けています。
経験豊富な先輩ドライバーが同乗し、運転技術から荷役作業の手順、安全確認のポイントまで、独り立ちできるまで丁寧に指導してくれる体制が整っている場合がほとんどです。
したがって、学ぶ意欲と慎重さがあれば、未経験からでも乗り越えられない壁ではありません。
なぜタンクローリードライバーはきついのか

タンクローリードライバーの仕事は、メリットがある一方で「きつい」と感じられる側面も確かに存在します。その理由は、複合的な要因によるものです。
第一に、精神的なプレッシャーの大きさが挙げられます。運搬するのがガソリンや化学薬品などの危険物である場合、常に事故のリスクと隣り合わせです。
万が一の事故は、火災や環境汚染など、甚大な被害を引き起こす可能性があります。
この「絶対に事故は起こせない」という重圧は、日々の運転において大きな精神的負担となることがあります。
また、荷役時のわずかなミスがコンタミ(混油)事故につながるため、作業中は片時も気を抜けません。
第二に、勤務体系の特殊性です。特に危険物輸送では、配送先への到着時間から逆算して早朝、時には深夜に出勤し、積み込み作業から一日を始める必要があります。
このような不規則な勤務時間は、生活リズムを整えるのが難しく、慣れるまでは体力的にきついと感じるかもしれません。
第三に、拘束時間の長さも一因です。運転時間そのものに加え、積み込みや荷下ろしにかかる時間、そして安全確認や書類作業など、付随する業務も少なくありません。
交通渋滞などの影響も受けやすく、結果として1日の拘束時間が長くなることもあります。
これらの点は確かに厳しい側面ですが、多くの企業では安全管理体制の強化や、2024年問題以降の労働時間規制遵守に向けた勤務体系の見直しを進めて改善の方向です。
注視すべきタンクローリーの離職率は?

タンクローリードライバー専門の離職率に関する公的な統計データは限られていますが、業界全体の動向から傾向を読み取ることができます。
厚生労働省の雇用動向調査によると、運輸業・郵便業全体の離職率は他の産業と比較して若干高い水準で推移することがあります。
この背景には、長時間労働や不規則な勤務体系といった、運送業界に共通する課題が存在します。
タンクローリードライバーの場合、これらの一般的な要因に加えて、前述のような危険物を扱う精神的プレッシャーや、厳格な安全規則への適応が求められる点が、離職の一因となる可能性は否定できません。
特に、入社後の研修期間中に、仕事の専門性や求められる責任の重さに対応できず、キャリアチェンジを選択するケースも見られます。
しかし、一方で、物流業界全体が深刻なドライバー不足と高齢化に直面しているという側面も重要です。
特に、専門的なスキルを要するタンクローリードライバーは貴重な人材であり、各企業は人材の確保と定着に力を入れています。
給与水準を高く設定したり、年間休日を増やしたり、福利厚生を充実させたりと、労働環境の改善に取り組む企業は増加傾向にあります。
以上のことから、タンクローリードライバーの仕事は一定の離職者がいるものの、需要の高さから売り手市場であり、企業側も働きやすい環境づくりを進めている過渡期にあると言えます。
未経験からの転職に有利となる資格
40代未経験からタンクローリードライバーへの転職を成功させるためには、事前にいくつかの資格を取得しておくことが非常に有利に働きます。資格は、あなたの意欲と能力を客観的に証明する強力な武器となります。
必須または強く推奨される資格
まず、運転する車両のサイズに応じた運転免許が基本となります。タンクローリーは大型車両が多いため、「大型自動車第一種運転免許」は事実上必須と考えてよいでしょう。さらに、トレーラータイプの車両も多いため、「けん引免許」もあれば、応募できる求人の幅が大きく広がります。
専門性を高め、価値を上げる資格
運転免許に加えて、運搬する貨物に応じた専門資格が求められます。
| 資格名 | 概要と重要性 |
|---|---|
| 危険物取扱者 乙種第4類 | ガソリン、灯油、軽油などの引火性液体を扱う際に必須の国家資格です。タンクローリー求人の多くで応募条件とされており、取得しておくと選択肢が格段に増えます。 |
| 高圧ガス移動監視者 | LPG(液化石油ガス)や液化窒素などの高圧ガスを運ぶ際に必要です。この資格を持つ人材は限られているため、取得すれば高い専門性をアピールできます。 |
| 毒物劇物取扱責任者 | 特定の化学薬品など、毒物や劇物に指定される物質を運搬する業務で求められます。非常に専門性が高く、キャリアアップにもつながる資格です。 |
これらの資格は、転職活動を有利に進めるだけでなく、入社後の資格手当として給与に反映されることも多いです。企業によっては、入社後に費用を負担してくれる「資格取得支援制度」を設けている場合もあります。
しかし、40代からの転職では、即戦力としての期待も大きくなるため、事前に主要な資格、特に「大型免許」と「危険物取扱者 乙種第4類」は取得しておくことが、成功への近道と言えます。
40代のタンクローリー転職|給料と成功の鍵
タンクローリーの年収は平均いくらですか?
タンクローリードライバーの年収は、扱う貨物の種類、勤務地、そして所属する企業の規模によって大きく変動しますが、一般的には他の大型トラックドライバーと比較して高い水準にあります。
全体の平均としては、おおむね450万円から600万円程度が目安となります。
しかし、これはあくまで平均値であり、より高い収入を得ることも十分に可能です。年収を左右する主な要因は、業務の専門性とそれに伴う資格です。
以下に、運搬する貨物による年収目安の例を示します。
| 運搬物の種類 | 年収目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 石油製品(ガソリン・灯油など) | 450万円~700万円 | 最も一般的なタンクローリー業務。需要が安定しているが、季節による業務量の変動がある場合も。 |
| 高圧ガス(LPGなど) | 450万円~650万円 | 専門資格が必要。安定した需要が見込める分野。 |
| 化成品(ケミカル) | 450万円~650万円以上 | 扱う物質の危険性が高く、より高度な知識と厳格な管理が求められるため、年収も高くなる傾向。大手化学メーカーの輸送などを担う場合はさらに高待遇も。 |
| 食品・粉粒体など | 450万円~500万円 | 危険物ではないが、衛生管理などが求められる。比較的安定している。 |
これらの金額は、経験年数や保有資格、残業時間などによって上下します。特に、大都市圏(京浜地区など)では、需要の多さから給与水準が地方より高い傾向が見られます。
40代で未経験からスタートする場合、初年度は平均よりやや低い金額からのスタートになる可能性もありますが、経験を積み、対応できる業務の幅を広げることで、着実に年収を上げていくことが可能な職種です。
結局タンクローリーの給料は高いですか?
様々なドライバー職がある中で、タンクローリードライバーの給料は「高い傾向にある」と言えます。その理由は、単に長時間運転するからではなく、業務に求められる高い専門性と責任に対する対価が含まれているためです。
まず、他の一般的な貨物を運ぶ大型トラックドライバーと比較した場合、平均年収で数十万円から、場合によっては100万円以上の差がつくことも珍しくありません。
一般的なトラック輸送では、荷主間の価格競争により運賃が抑制されることがありますが、タンクローリー輸送は参入障壁が高いため、比較的安定した運賃が保たれやすい背景があります。
給料が高くなる最大の要因は、資格手当の存在です。「危険物取扱者」や「高圧ガス移動監視者」といった専門資格は、業務に必須であるため、多くの企業で月々の給与に数千円から数万円の手当として上乗せされます。
複数の資格を保有していれば、それだけ手当も厚くなる仕組みです。
さらに、業務そのものの専門性も給与に反映されます。危険物を扱うことによる精神的なプレッシャーや、コンタミ事故などを防ぐための厳格な作業手順の遵守など、求められる責任は重大です。
企業は、こうした高いレベルの業務を遂行できる人材を確保するために、相応の給与を支払う必要があるのです。
したがって、タンクローリーの給料は、厳しい業務内容や求められる専門性、背負う責任の大きさを考慮した、妥当な報酬であると考えることができます。
知っておきたいタンクローリーのメリットは何ですか?
タンクローリードライバーの仕事は、厳しい側面がある一方で、他のドライバー職にはない独自のメリットも数多く存在します。40代からのキャリアチェンジを考える上で、これらの利点は大きな魅力となるはずです。
最大のメリットとして挙げられるのが、身体的な負担が比較的少ない点です。一般的なトラック輸送で多くのドライバーが負担に感じる、重い荷物の手積みや手降ろし作業が一切ありません。
荷役はホースを接続してバルブを操作するのが基本であり、力仕事が少ないため、年齢を重ねても長く働き続けることが可能です。
実際に女性ドライバーも多く活躍しているのが、その証拠と言えます。
次に、人間関係のストレスが少ないことも大きな利点です。運転中は基本的に一人であり、自分のペースで仕事に集中できます。
荷下ろし先でのやり取りはありますが、配送件数が1日に数件と限られているため、多くの人と頻繁に接するわけではありません。対人関係の煩わしさが少ない環境を求める方には、適した仕事内容と考えられます。
また、長距離運行が少ない傾向にあることもメリットの一つです。全くないわけではありませんが、多くは製油所や工場から担当エリア内へ配送する地場輸送が中心です。
そのため、「何日も家に帰れない」といったケースは少なく、仕事とプライベートのバランスが取りやすいと言えます。
そして、専門的なスキルや資格が身につくことも、長期的なキャリアを考えると大きな財産になります。一度技術と知識を習得すれば、それは一生もののスキルとなり、将来的にも安定して仕事を続ける上で強力な支えとなるでしょう。
40代が注意すべき体力面と働き方

40代からタンクローリードライバーという新しいキャリアに挑戦するにあたり、特に意識しておきたいのが体力面と働き方です。20代や30代と同じ感覚でいると、思わぬ壁に直面する可能性があります。
まず体力面では、日々の健康管理がこれまで以上に重要になります。前述の通り、手積み手降ろしといった重労働は少ないものの、長時間の運転や不規則な勤務時間は、確実に体に疲労を蓄積させます。
特に早朝からの勤務に慣れるまでは、十分な睡眠時間の確保が不可欠です。週末にまとめて休むだけでなく、日々の食事や適度な運動を心がけ、高いパフォーマンスを維持できるコンディションを保つことが大切です。
腰痛など、ドライバー特有の悩みにも注意し、運転姿勢を工夫するなどの対策も考えましょう。
働き方については、短期的な視点だけでなく、50代、60代を見据えた長期的なキャリアプランを持つことが鍵となります。まずはドライバーとして現場の経験を積み、専門知識を深めることが第一です。
その上で、将来的にはドライバーの運行計画を立てたり、労務管理を行ったりする「運行管理者」の資格取得を目指すといった道も開けています。
現場経験豊富な運行管理者は、企業にとっても非常に価値の高い存在です。
40代での転職は、これが最後のキャリアチェンジとなる可能性も十分にあります。だからこそ、無理なく、そして長く働き続けられるよう、自身の体力と向き合い、将来のキャリアパスを意識しながら日々の業務に取り組む視点が求められます。
採用される求人情報の見極め方

40代未経験からタンクローリードライバーへの転職を成功させるには、数ある求人情報の中から自分に合った優良な企業を見極めることが極めて重要です。以下のポイントに注意して、求人内容を精査しましょう。
第一に、「未経験者歓迎」や「40代活躍中」といった文言が明確に記載されているかを確認します。
これらの記載がある企業は、未経験者の受け入れ態勢や、40代の定着実績がある可能性が高く、入社後のミスマッチを減らすことができます。
第二に、研修制度の充実度を詳しくチェックしてください。「横乗り研修あり」といった簡単な記述だけでなく、「独り立ちまで平均3ヶ月」「安全講習や荷役訓練を定期的に実施」など、具体的な研修内容や期間が示されている企業は信頼性が高いです。
面接の際には、研修の具体的なカリキュラムについて質問してみるのも良いでしょう。
第三に、資格取得支援制度の有無とその内容です。大型免許や危険物取扱者の資格取得費用を会社が全額または一部負担してくれる制度は、経済的な負担を大きく軽減してくれます。
ただし、「勤続◯年以上」といった条件が付く場合もあるため、制度の詳細まで確認することが大切です。
第四に、給与体系と福利厚生です。月給の内訳がどうなっているか(基本給、残業代、各種手当の割合など)、賞与の実績、昇給制度の有無は生活の安定に直結します。
また、年間休日数や有給休暇の取得実績、社会保険完備はもちろんのこと、退職金制度なども長期的に働く上では見逃せないポイントとなります。
これらの情報を総合的に比較検討し、目先の給与額だけでなく、自分が安心して長く働ける環境かどうかという視点で企業を選ぶことが、40代からの転職を成功に導く鍵となります。
40代のタンクローリー転職を成功させるには:まとめ
- 40代未経験でも、ドライバー不足を背景に転職のチャンスは豊富にある
- 成功の鍵は資格取得にあり、特に大型免許と危険物乙4は有利に働く
- 手積み手降ろしがなく、身体的な負担が少ないのは大きな魅力
- 一方で早朝勤務や長時間運転など、不規則な生活への適応が求められる
- 年収は450万円〜600万円が目安で、専門性を高めれば高収入も可能
- 未経験から始めるなら、研修制度や資格取得支援が充実した企業を選ぶ
- 給与体系や年間休日、福利厚生といった労働条件を慎重に比較検討する
- ドライバーとしてだけでなく、将来の運行管理者などキャリアパスも描ける
- 危険物を扱うため、常に高い安全意識と責任感を持つことが不可欠
- 特に京浜地区など、需要の高いエリアでは好条件の求人が見つかりやすい
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