
街で見かける“タンクローリー”。丸いタンクを積んだトラック…というイメージはあるけれど、実は中身や仕組みによって種類がいろいろあります。
この記事では、タンクローリーの代表的な分類を「何を運ぶか」「タンクの構造」「積み降ろし方式」「運用スタイル」の4つの視点で、初めての人にも分かるように整理します。
まず結論:タンクローリーは「中身」でだいたい決まる
タンクローリーの違いは、ざっくり言うと 運ぶものの性質(危険・腐食・衛生・固まりやすさなど) に合わせて最適化されていること。
なので、一番わかりやすい分類は「中身(用途)別」です。
1. 運ぶもの(用途)で分ける:代表的なタンクローリーの種類
■ 石油系(ガソリン/軽油/灯油/重油)
いわゆる“ザ・タンクローリー”の代表格。
特徴は 複数の油種を同時に運べるように、タンク内部が仕切られている(多槽・隔壁あり) ことが多い点です。
混ざると困るので区画分けは重要。
■ 化学薬品(酸・アルカリ・溶剤など)
薬品はタンクにとって過酷。
腐食や反応を防ぐために、ステンレス製だったり、内面に樹脂ライニング(コーティング)が施されることがあります。
さらに漏えい対策やガス抜きなど、安全装備も用途に応じて強化されがち。
■ 液化ガス(LPG・液体アンモニアなど)
液化ガスは高圧で扱うため、タンクは普通の“容器”ではなく 圧力容器(耐圧構造)。
見た目も太めの円筒で、バルブ類や安全弁なども専用仕様になります。
■ 粉粒体(セメント・小麦粉・飼料など)
「え、粉も?」と思うかもですが、粉を運ぶ“タンク”車もあります。
このタイプは バルク車 と呼ばれることも多く、荷降ろしは 空気で押し出す(空気圧送) のが特徴。
ブロワ(送風機)を使って配管で送ります。
■ 食品(牛乳・食用油・糖蜜など)
食品は衛生が命。
タンクは洗浄しやすい形状で、材質も食品向け(ステンレスなど)。異物混入や臭い移りを防ぐため、運用も厳密です。
■ 水・汚泥・し尿(給水車/バキューム車)
水を運ぶ給水車もタンク車の仲間。
一方、汚泥・し尿などを扱う バキューム車は、吸い上げるために 真空装置や吸引ポンプが搭載されます。用途がはっきり分かれる分野です。
2. タンクの「構造」で分ける:同じ液体でも仕様が変わる
用途が近くても、運ぶ物の性質でタンク構造が変わります。
- 単槽(1室)/多槽(複数室)
混ざると困る液体は多槽が便利。配送の柔軟性も上がる。 - 保温・保冷・加温(ヒーター付き)
冷えると固まりやすい油・糖蜜などで活躍。 - 圧力容器型/非圧力型
液化ガスなどは圧力容器、一般的な液体は非圧力が多い。 - ライニング有無
腐食・反応を防ぐ内面加工。薬品系で重要。
3. 積み降ろし方式で分ける:現場の事情で“やり方”が変わる
タンクローリーは、どう積んでどう降ろすかでもタイプが分かれます。
- 自吸式(ポンプ搭載):現場の自由度が高い(設備がなくても対応しやすい)
- 重力式(落とし込み):拠点側の設備が整っている場合に向く
- 圧送式(空気圧送):粉粒体で定番。配管で送れる
- 真空吸引式:バキューム車など、吸引が必要な用途
4. 運用・見た目で分ける:街で見かける呼び名の違い
日本でよく聞く呼び方としてはこのあたり。
- タンクローリー(トラック一体):車体にタンクを載せたタイプ
- タンクトレーラー/セミトレーラー:牽引して大容量を運ぶタイプ
- ミニローリー:狭い現場向けの小型タイプ
まとめ:用途を聞けば“だいたい何が載ってるか”がわかる
タンクローリーは、同じように見えても中身や現場条件で仕様が大きく変わります。
- 何を運ぶか(石油・薬品・ガス・粉・食品・汚泥など)
- タンク構造(多槽・保温・圧力容器・ライニング)
- 積み降ろし方式(ポンプ・重力・圧送・真空吸引)
- 運用形態(トラック一体/トレーラー/ミニ)
この4つを押さえると、街で見かけたタンク車も「あ、これはこの用途っぽいな」と見分けやすくなります。